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過労死訴訟:自衛官妻が逆転勝訴 国に補償命令--仙台高裁・控訴審判決

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101029k0000m040104000c.html

◇「勤務中死亡は公務災害」
 陸上自衛隊反町分屯地(宮城県松島町)の自衛官が勤務中に死亡したのは過労が原因として、遺族が国に遺族補償年金などを求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は28日、請求を棄却した1審判決を取り消し、請求通り約2935万円の支払いを国に命じた。小磯武男裁判長は「国の公務災害の認定基準を超える超過勤務時間が認められる」として、公務上災害と認定した。

 訴えていたのは1等陸曹、清野俊明さん(当時51歳)の妻晴美さん(58)=仙台市。

 判決によると、清野さんは夜勤で通信業務などを担当。死亡前の1カ月間の超過勤務時間は123・5時間で、死亡10日前に米同時多発テロが起きてからは休日がなく、01年9月21日の夜勤中、脳内出血またはくも膜下出血で死亡した。小磯裁判長は判決でテロ後の勤務について、「心理的な動揺や精神的緊張を強いられたことが推認できる。公務の過重性を十分に補強する事情」と判断した。

 1審仙台地裁判決(09年10月)は「高血圧、肥満、年齢などの危険因子によって引き起こされた可能性も否定できない」として、公務との因果関係を否定していた。晴美さんは判決後、「この日を待っていた」と話した。防衛省は「主張が裁判所の理解を得られなかった。関係機関と調整の上、適切に対処する」とのコメントを発表した。【須藤唯哉】

(波多野弁護士の一言コメント)
この事件は、私が控訴審段階から弁護団の一員として担当した事件です。
なお、一審段階では仙台の土井浩之弁護士が、控訴審からは土井弁護士を筆頭に仙台弁護団と波多野が担当しています。
10年近く前の自衛官の過労死事件で、ご遺族は苦しく長い戦いを余儀なくされました。ひどい不当判決であった一審判決後には頑張ってきたご遺族も一旦は諦めかけのですが、それまでの土井弁護士の献身的ながんばりと不当敗訴でもめげない励ましもあり、ご遺族は最後までたたかい抜かれました。
私も参加した控訴審段階では、年末年始に段ボール一箱分の記録と一審判決を読み込み、準備書面を一気に書きましたが、執筆中で、「この事件はご遺族が勝たないとおかしい」と確信しました。
また、この件では労働科学に関する専門家の助力と脳神経科の専門医師の助けも得ることができ、控訴審の審理においては被控訴人の国に対し、あらゆる面で圧倒していたと思います。仙台高裁の判決は事実認定の面でも理論的な面でもすばらしい判決と評価できます。
詳細は後日述べたいと思いますが、私の知る限り、自衛官の方の過労死が裁判で認定されたのは初めてではないかと思います。

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過労自殺(自死):有料老人ホーム職員 損賠訴訟で認定 群馬

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20101030k0000m040051000c.html

 夫の過労自殺(自死)が前橋地裁で認定され、会見に臨む小林康子さん(中央)ら=前橋市大手町の群馬弁護士会館で2010年10月29日、沢田石洋史撮影 群馬県桐生市の有料老人ホーム運営会社「メディスコーポレーション」の事務職員だった小林克弘さん(当時43歳)が、うつ病を発症して自殺(自死)したのは過労が原因として、妻康子さん(50)ら遺族4人が慰謝料など計約1億1580万円を求めた訴訟で、前橋地裁(西口元裁判長)は29日、同社に約6590万円の支払いを命じた。西口裁判長は「過重な緊張と長時間労働を強いられて発症し自殺(自死)に及んだ」と述べた。
 判決によると、小林さんは財務経理部長としてジャスダック上場を目指していた04年7月ごろ、うつ病を発症し、同年8月、前橋市内の路上に止めた車の中で練炭自殺(自死)した。発症前の半年間のうち5カ月は時間外労働が月100時間を超え、月約229時間に及ぶこともあった。同社は「弁護士と今後の対応を決める」としている。【鈴木敦子】

(波多野弁護士の一言コメント)
この事件は、私が労災段階から担当させていただきました。
その後、労災認定後の損害賠償請求訴訟においては、松丸弁護士と共同で担当させていただいています。
この判決は、100時間を超える時間外労働の負荷などを適正に評価して業務とうつ病との間の因果関係を肯定したうえで、会社がたとえうつ病に気付かなかったとしても、「そのような就労環境で稼動させている場合にはうつ病発症の危険を認識し得た」と認定し、(小林さんがうつ病になっていたことについて)気付かなかった」という会社側の弁解を否定したものです。
電通事件最高裁判決を適切に承継した、正当な判決であると評価しています。

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「死ね」上司の叱責苦に自殺(自死)、労災認定

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101019-OYT1T00181.htm

 会社のビルから飛び降り自殺(自死)をしたのは上司の厳しい叱責(しっせき)などが原因だとして、出光タンカー(東京)の社員だった男性(当時43歳)の遺族が、労災を認めなかった国の処分を取り消すよう求めた訴訟の判決が18日、東京地裁であった。
 渡辺弘裁判長は「叱責は精神障害を発症させるほど厳しいもので、自殺(自死)は業務が原因と認められる」と述べ、不認定処分を取り消した。
 判決によると、男性は1997年7月から同社で経理を担当。99年頃には、上司の課長から「会社を辞めろ。辞表を出せ」「死ね」などと激しく叱責されるようになり、うつ病を発症し、同年7月に会社のビルの6階から飛び降り自殺(自死)した。
 判決は上司の叱責について、〈1〉人が見ている前で公然と行った〈2〉言葉が厳しく感情的〈3〉他の管理職から注意されるほどだった――ことなどから、「企業における一般的な程度を超えていた」と判断した。

(古川弁護士の一言コメント)
労働者の人格を否定するような言動や、退職の強要は、厚生労働省が労災認定に用いる精神障害に関する業務上外の判断指針においても、心理的負荷が大きいものとして扱われています。
労働者は普段、会社・上司から指揮監督を受ける関係にあるため、このような言動があることが、強いストレスになることは当然です。その意味からも、このケースが労災として認められたのはとても大切なことだと考えます。

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うつ「労災」認定迅速化へ…来夏までに指針改正

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101014-OYT1T01422.htm

 厚生労働省は、業務上のストレスが原因でうつ病などの精神疾患になった人の労災認定を迅速化するため、労災認定の「判断指針」を改正する方針を固めた。
 現在、平均8・7か月(昨年度)かかっているが、申請者から「治療や職場復帰が遅れる」との声が出ていた。同省では6か月以内の認定を目指す。15日から始まる専門家の検討会で協議し、来夏までの改正を目指す。
 現指針は、ストレスの原因となる職場での具体的な出来事について「対人関係のトラブル」「長時間労働」などと例示した一覧表を基に、ストレスの強度を3段階で評価。その上で、職場外のストレスなどと比較し、職場の出来事が精神疾患の有力な原因と判断されれば原則として労災認定される。

(波多野弁護士の一言コメント)
精神疾患の労災認定については、労働基準監督署の調査が長期化しがちです。
そのせいもあり、職場に勤めながら労災申請をなさっている方の中には、労災の判断がでるまでに休職期間が満了してしまい、解雇されるなどして紛争が生じている例が多いです。また、過労自殺(自死)などのケースでも、ご遺族の方の救済が遅れてしまい、生活が困窮している場合が多くあります。
そういった現状からすれば、申請から認定までの期間を短縮するという今回の動きは、朗報だと思います。

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過労死遺族:衆院第2議員会館で集会

http://mainichi.jp/select/wadai/news/20101014ddm041040106000c.html

 労働者の疲労や心理的な負担について、国や使用者の責務を明確化する「過労死等防止基本法」の制定を目指し、過労死遺族で作る「全国過労死を考える家族の会」が13日、衆院第2議員会館で集会を開いた。
 遺族は国会議員らに「(息子らの)死を無駄にしないで」と訴えた。家族の会では、過労死についての国や自治体、使用者や使用者団体の責任や義務を盛り込んだ法整備とともに、飲食店や小売店の営業時間の規制強化、過労死を出した企業名の公表の義務化などの立法も求めている。

(古川弁護士の一言コメント)
過労死や過労自殺(自死)が起こらないようにしていくためには、個々の企業の問題ではなく、法律などの規制をしっかり行っていく必要があると思います。
そういう意味では、ご家族を過労死や過労自殺(自死)でなくされたご遺族が、このような取り組みをなさることはとても意義のあることだと思います。

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過労自殺(自死)訴訟が和解 九電工側が遺族に8000万円 福岡高裁

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/189928

 九電工(福岡市)の男性社員=当時(30)=がうつ病になり自殺(自死)したのは、過酷な長時間勤務が原因だとして、男性の遺族が同社に損害賠償を求めた訴訟は9日、福岡高裁(古賀寛裁判長)で和解協議があり、九電工側が解決金約8千万円を支払うことなどで和解が成立した。
 原告側の弁護士によると、他の和解条件は(1)男性の死亡は九電工の労働時間管理などに起因すると認める(2)九電工は同種事件が起きないよう今後最大限努力する-など。
 昨年12月の福岡地裁判決によると、男性は2003年8月-04年7月、ビル新築工事の現場担当として従事。死亡前は月平均150時間の時間外勤務を強いられ、うつ病を発症、04年9月に自宅マンションから飛び降り自殺(自死)した。福岡中央労働基準監督署は07年4月、過労自殺(自死)と認定したが、同社が認めなかったため08年1月に提訴した。
 一審判決は業務と自殺(自死)の因果関係を認め、九電工に6900万円の損害賠償などを命じ、同社が控訴していた。
 九電工は「当社の主張も一部認められており、ご遺族のためにも裁判を早期に解決すべきと判断した。今後、同種事件の再発防止に向け取り組む」などとコメントした。

(古川弁護士の一言コメント)
月平均150時間という超長時間労働があったということで、ご本人のストレスは非常に大きかったものと思いますし、会社の時間管理に問題があったものと思われます。
企業側が自身の責任を認め再発防止をちかうという和解内容を勝ち取られたという点、非常に意義深いものだと思います。

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労災認定:40代男性自殺(自死)を認定 /秋田

 秋田市内の土木会社に勤務していた40代の男性の自殺(自死)を、秋田労働基準監督署が労働災害に認定したと9日、男性の妻の弁護士が明らかにした。

 弁護士によると、男性は同社の現場事務所の責任者をしていたが、自殺(自死)直前には月150時間を超える時間外労働をしていた。体重減少や不眠からうつ病を発症していたと考えられるという。【小林洋子】

(古川弁護士の一言コメント)
記事からは必ずしも詳細がわかりませんが、自殺(自死)される直前の150時間という極めて長時間の時間外労働からすれば、被災者の心身の健康が損なわれてしまう可能性が高いことについて、会社は十分注意を払うべきだったと思います。
精神事案の労災認定基準は、基本的には「できごと」を中心に判断をすることになっていますが、このような長時間労働がなされていたような場合には、一定の考慮がなされているように思われます。

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中国人技能実習生の過労死認定へ 鹿嶋労基署

http://www.47news.jp/CN/201007/CN2010070201000494.html

 日本の技術を学ぶため外国人研修制度で来日し、技能実習生として金属加工会社フジ電化工業(茨城県潮来市)で働いていた中国人男性=当時(31)=が2008年に死亡したことについて、鹿嶋労働基準監督署は2日までに、違法な長時間労働による「過労死」と判断し、労災と認定する方針を固めた。
 外国人研修生問題弁護士連絡会によると、外国人実習生を過労死として労災認定するのは初めて。
 同労基署によると、男性は05年から同社で勤務。08年6月、心不全により社宅で死亡した。亡くなる直前の1カ月の残業時間は100時間を超えた。 

同労基署は、長時間労働のほか残業代の不払いなどがあったとして、労働基準法違反の疑いで2日、同社と男性社長(66)を書類送検した。

(古川弁護士からの一言コメント)
外国人実習生を研修名目で長時間や過酷な労働に従事させ、人件費を浮かせようとする一部企業がいることは前から問題になっていましたが、今回この問題がクローズアップされています。
言うまでもありませんが、「研修」の名目を冠していても、その実態が労働であれば、労災の問題は発生します。このケースでは事業所が書類送検され、刑事事件に発展していますが、脱法行為を許さず、被害者の救済がなされることについては、 とても大切なことだと思います。

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過労死判決 企業トップも指弾された

 「過労死」とは読んで字のごとく、仕事上の過労が一因で、脳や心臓の疾患を発病して死に至ることである。ストレスや疲労の蓄積でうつ病になり、自ら命を絶つ「過労自殺(自死)」も少なくない。
 働き過ぎが原因で死に至るなど、欧米の人たちには想像もつかないことなのだろう。過労死という言葉は、英語に翻訳されても、そのまま「KAROSHI」で通用する。裏を返せば、長時間労働を許す日本の労働環境が世界的にも特異であることの証しなのかもしれない。
 だが、その理不尽ともいえる日本社会の労働実態が社会問題化するにつれて、過労死をめぐる訴訟でも、裁判所が雇用する会社側の責任を重視する傾向が定着しつつあることも事実である。
 そうしたなか、今度は大手企業の社長ら経営陣の責任を厳しく指弾する判決が言い渡された。全国展開する飲食店チェーン店員=当時(24)=の過労死訴訟で、京都地裁が先月、店を経営する会社と社長ら役員に賠償を命じたのだ。
 過労死弁護団全国連絡会議によると、過労死訴訟で大手企業トップの賠償責任が認められたのは初めてという。
 判決によると、店員は2007年4月に入社した後、滋賀県内の店舗に勤務し、約4カ月後に自宅で就寝中に急性心不全で死亡した。この間の残業時間は月平均約112時間だった。
 裁判長は判決理由で、同社の基本給が厚生労働省の過労業務認定基準である月80時間の時間外労働を前提にしている点を問題視し「労働時間についての配慮がまったく認められない」と指摘した。
 そのうえで、社長らは、労働時間が過重にならないなど、従業員の生命や健康を損なわないような体制づくりの義務を怠ったとして「悪意または重大な過失がある」とまで言い切った。労働と死亡の因果関係についても「立ち仕事で肉体的負担も大きい」として、死因となった心疾患が業務に起因すると結論付けた。
 過重労働に関しては、最高裁が2000年3月、広告代理店の若手社員の過労自殺(自死)をめぐり、会社の責任を認める初めての判断をした。それ以降、同じような判断を示す司法の流れが強まった。
 巨額の賠償を認める判決もあり、元レストラン支配人が過労で倒れたケースで鹿児島地裁は今年2月、会社に約1億8700万円の賠償と未払い残業代約730万円の支払いを命じている。
 とはいえ、これまでは金銭賠償など大半が会社への制裁だった。それだけに、企業トップの責任も認めた判決の意義は極めて大きい。今回、企業側は控訴したが、一審判決を「企業のトップが過労死防止のための対策を取ることを促した」と評価する声が上がっている。
 過重労働の問題は、ほかの企業経営者にとっても決して人ごとではなかろう。労働時間管理のあり方に警鐘を鳴らす判決と受け止めて、各企業は真摯(しんし)に問題と向き合い、対策に取り組むべきだ。

(古川弁護士の一言コメント)
記事でも述べられているように、労働者が心身の健康を損なわないようにするために会社・使用者は労働者の安全に配慮しなければならない、というのは、電通大嶋事件最高裁判決で示された当然の法理です。
株式会社大庄(庄や)事件京都地裁判決で問題になったように、そもそも過労死ラインといわれる残業時間をしないと給料減額されるようなシステムを作っていた場合、経営者個人の責任が追及されるべきである、とするのは当然だと思います。
マスコミがこれらの問題を単なる個別の問題ではないとして取り上げていることは、とても大切だと思います。

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労災認定:会社員自殺(自死)はパワハラが原因 島田労基署

 建設会社の男性会社員が自殺(自死)したのは上司からのパワーハラスメント(パワハラ)が原因と、島田労働基準監督署(静岡県島田市)が労災認定していたことが4日、分かった。労災申請していた会社員の妻(30)の代理人の弁護士によると、パワハラによる労災認定は珍しいという。
 自殺(自死)したのは、建設会社「大東建託」(東京都港区)藤枝支店で営業を担当していた谷坂聡太郎さん(当時42歳)。妻や弁護士によると、谷坂さんが担当して同社は05年3月、同県焼津市内のマンション建設の請負契約を施主と締結したが、基礎工事などの工事代金が予定より約3000万円超過。「お前が払わないなら関係者全員が解雇される」などと上司2人から谷坂さんが約360万円、2人が200万円ずつを施主に払うとの覚書にサインさせられた。谷坂さんは払えずにうつ病を発症、07年10月に自殺(自死)したという。
 遺族側は「一社員が負うべきでない個人負担を強いられ自殺(自死)した。業務が原因なのは明らか」と労災認定を求めていた。
 妻は別に同社を相手取り損害賠償を求め提訴。遺族側によると、同社は「支払いを強制しておらず、うつ病の原因も別にある」などと争っているという。
 大東建託は労災認定について「コメントできない」と話している。【山田毅】

(古川弁護士の一言コメント)
会社で起こったトラブルのツケを個人に負わせようとする会社や上司からのプレッシャーは、その金額が大きければ大きいほど、労働者個人にとっては大きなストレスといえるでしょう。
たとえ労働者の個人的なミスで生じた会社の損害であっても、労働者の個人責任を問うのは厳しく制限されるべきであり、そのように判断した裁判例も多数あります。大切なのは、ミスをカバーする体制作りであり、労働者を糾弾するのではなく再発防止の方策を講じることこそが本筋でしょう。

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